輝く女性たち

井石八千代さん / 株式会社井石 代表取締役

九州経済同友会宮崎大会

 

 先代社長である父が、昭和26年7月に運送業を設立。長崎市内や大村近隣地区で資材運搬や食料品配送、倉庫・在庫管理、草刈作業、自販機事業、農産物生産・販売等を行っている。

 昭和51年9月、27歳の時父が急死し、同年12月からトラック運送業の二代目社長に就任し経営全般にかかわっている。

 当時まだ海外への渡航が珍しかった昭和48年、総理府主催の「短期海外派遣 アジアⅡ班」団員として、長崎県から派遣された。団長、副団長と団員14名が参加し、韓国、香港、シンガポール、タイ、マレーシアを2週間訪問し、友好を深めた。日本では田中角栄首相が「日本列島改造論」を声高に叫び、高度成長へとひた走る時代だった。東宮御所で帰国報告会が行われ、皇太子ご夫妻(現天皇陛下、皇后陛下)にお声をかけられ、大感激した思い出がある。団員間の交流は現在も続いており、各自、地域づくりに頑張っている。
 

 父は高齢であり、銀行の借入が終わり次第、事業をやめようと考えていたようであり、私の人生設計も平凡なもので、後継者になるとは夢にも思わなかった。経営の何たるかを学ぶ時間や機会もなく、いきなり事業を引き継いだ。父の保証債務の後始末や事業運営、営業等、毎日が試行錯誤の連続だった。

 引き継いだ頃のドライバーは、いきなり無届けで休む等、労務管理が難しく、死亡事故や解雇問題で労働争議が発生するなど、自身の未熟さや勉強不足が露呈し、4~5年は気の休まる暇がなかった。

 

茂木みかん狩り(地域間・世代間交流の様子)

ふれ愛農園(地域間・世代間交流の様子)

 会社での3年間の実務経験はあったが、経営に関しては、「ど素人」に近かった。私より1歳年下の非常にユニークな経営をされる方がいて、顧問税理士さんを紹介してもらい、管理会計や月次決算に切り替えた。他にも、朝礼や社員教育のやり方、当時まだ珍しかったパソコンの導入方法等を教えてもらい、遠距離輸送や食品配送への足かがりをいただいた。規制緩和や不況の波にも倒産せずに生き残ることが出来た。

 新事業を展開しようと物流の勉強会に参加した際、佐賀県内の若手社長等とともに、平成4年JCNグループを結成し、「ハブ&スポーク方式」システムを導入。新たな輸送システムの開発や新規荷主の獲得へと繋がった。ネットワークづくりや情報の大切さを知り、積極的に業界や経済団体の集まりに参加して多くの知己を得、今日の私がある。人との巡り会いに感謝している。

(更新 平成30年2月)

 

 

ライフ年表

24歳 48年総理府短期海外派遣にて、韓国・東南アジア訪問。地域のリーダーが集まったせいか、個性や主張を持つことを学んだ。
27歳 父の急死により、合資会社井石運送 無限責任社員に就任、リーダーはある意味孤独だと感じる。
34歳 長崎大水害を契機に土木関係のダンプ運送事業から、天候や景気に左右されない食品関係の配送や倉庫管理業へと事業を転換した。
50歳 異業種交流の仲間とともにNPO法人・長崎さんさん21を設立、理事長に就任。
    遊休農地を借受け、毎月1回~2回地域間・世代間交流を行っている。
52歳 創立50周年(社長在任25年)記念式典を開催し、歩み続けることの大切さと歴史の重みを知る。
57歳 合資会社から株式会社に組織変更し、株式会社井石 代表取締役に就任、株式会社に変更したいとの思いがようやく実現した。

  • 現在の仕事(活動)を始めるきっかけ又はやりがい
  •  昭和51年9月に父が急死、父は事業をやめたいと思っていたのか後継者を作っておらず、私自身、父の死後は会社を売却したいと考えていたが、銀行借入や父の保証債務の関係で、それも難しく、やむなく社長に就任した。
    運送業界は男性社会と思われがちだが、事業活動の中で何事も誠実に対応していけ、相手にも通じ、ビジネスに性差はないと思っている。5年後、10年後の会社の将来を思い描きながら、その目標に向かって仕事を進めている時、やりがいを感じる。

  • 座右の銘(好きな言葉)
  • 「謙虚にして驕らず、さらに努力を」

    「事業を成功させるのに、最も大切なことは、たとえどんなに地味な仕事であっても、その仕事を継続して、ひたむきに働くということに尽きます。親から引き継いだ事業であれ、自分で起こした事業であれ、それが上手くいっていないのは、その人が誰にも負けない努力をしていないからです。謙虚にして驕らず、さらに努力を」という、稲盛和夫氏の言葉を座右の銘としている。

  • これからしたいこと(今後の目標)
  • トラック運送業は、社会のライフラインである物流を支える最前線の職業であるが、労働時間が長く、休日は不規則とのイメージがある。
    最近は、給与より休日が欲しいドライバーが増えており、今後は、家族と過ごす時間や地域社会と関わる余裕ができるような勤務体制や配送システムを作ることで、女性活躍の推進と働き方改革をうまく連動させ、社員全員が心豊かな暮らしが実現できる会社を目指したい。

  • 後輩女性へのメッセージ
  • 平成29年12月「全日本トラック協会女性部会」の設立総会が東京で開催され、「女性の発想、視点で業界の将来をつくって欲しい」等のエールをいただいた。
    また、先般視察した農家では、80歳のおばあちゃんがタブレットとPCを使って取引きに参加し、断トツの売上を上げたり、農家民泊や農産品、加工品販売等でも女性が活躍している。
    「女性の活躍が企業成長の鍵」として北九州市でもフォーラムが開かれたが、女性活躍は当然の時代としたい。