輝く女性たち

福田奈都美さん / 波佐見空き工房バンク

 2014年に福岡県より移住。波佐見町の地域おこし協力隊に着任し、観光を中心とした町おこしを行ないました。

 得意分野は、観光冊子やイベントの印刷物の作成。出版社に勤務していた経験を生かして、まずは紙媒体の製作から取り組みました。

 そのあとには、神社の頒布品の企画。地元の窯元と協力して、波佐見焼のお守り・おみくじ・絵馬を3年間通して製作しました。

 活動の中心は、“観光”でしたが、活動をしていくなかで移住にも関心を持つようになりました。

福田 奈都美さん

 東京で行われた移住フェアでのこと。

 日本全国、様々な自治体が個性を生かしたブースを出展。九州ブースのなかで人気があったのは熊本や大分で、たくさんの行列ができて、農業や田舎暮らしに興味のある人で賑わっていました。

 一方、長崎のブースは“海”や“島”を押し出したPRを展開。マリンスポーツや釣りなど、海を好む人が集まってました。しかし、長崎県で唯一、海のない波佐見町。田舎ぐらしをPRするブースを設けていた波佐見町は、個性を生かせることもなく、人が集まっていませんでした。   

 「では、波佐見町の個性を生かせる移住PRって何だろう?」

 この移住フェアをきっかけに企画をしたのが、「波佐見空き工房バンク」です。

 「波佐見空き工房バンク」とは、町内にある波佐見焼の工房跡を物件化し、町内外の工芸作家や起業を目標としている方に有効活用してもらおうというプロジェクトです。

 全国区の人気となった波佐見焼ですが、町には高齢化や後継者不足で使われなくなった工房が点在しており、その工房跡は倉庫や車庫などに使われているというのが現状でした。

クリエイティブをテーマにしたモニターツアー。福岡を中心とした参加者が集まりました。

昼食は地元婦人グループの田舎料理バイキングでおもてなし

空き工房活用者と一緒に出張ワークショップを行うことも。夏休みに長崎県庁にて

 現在、食品サンプルの作家や陶芸家など6組が契約し、空き工房を拠点に活動しています。

 6組という実績は、決して多い数字ではありません。

 しかし、私が目標としているのは波佐見町の人口を増やすことではなく、“波佐見町を魅力的にしてくれる人”を呼び込むことです。

 「100人の移住者を増やす」ということではなく、「1人の魅力的な人に来てもらうこと」を目指しています。

 私自身が移住者なので、私だからこそできることもあると思っています。

 例えば「地域の人と馴染む努力をしましょう」という言葉を、地元の人が言うのと私(移住者)が言うのとでは、意味合いが変わってきます。

 私もそうであったように、知らない土地に飛び込む移住は不安がつきものです。地域の人と移住者がスムーズに馴染めるように、暮らしのサポート役も担っていけたらと思っています。

 

 今後の目標は“長く続けること”。

 「波佐見空き工房バンク」を立ち上げて5年になりました。

 課題も多く、うまくいかないこともたくさんあります。

 でも、空き工房の活用者が地域のイベントに参加したり、色んなメディアに取材されている様子を見ると、今私が行なっている活動も町のためになっているのかなと嬉しく思います。

 

(更新 令和1年5月)

ライフ年表

24歳 デザイン会社に就職。フリーペーパーの企画営業を行い、文章を書く楽しみを知る。
27歳 福岡市の出版社に転職し、観光情報誌の編集者となる。九州・山口の観光地をほぼ制覇。町づくりに興味を持つ。
30歳 波佐見町に移住。波佐見町地域おこし協力隊になる。
31歳 波佐見空き工房バンクの立ち上げ。
33歳 地域おこし協力隊の任期を終え、独立。波佐見町の男性と結婚。
34歳 第一子を出産。

  • 仕事(活動)と家庭の両立で工夫していること
  • 子どもが6ヶ月の時から保育園を利用しています。
    「こんな小さな子を預けるなんて…。」と、最初は抵抗や罪悪感がありましたが、通い出してみると、子どもなりの社会性が身についたり、先生のサポートのお陰で離乳食への移行がスムーズに進んだりと良いことの方が多かったです。
    何より、自分自身の時間ができたことで気持ちのゆとりがもて、落ち着いて子育てや仕事にも取り組めているように感じます。

  • プライベート(休日)の過ごし方
  • 日曜日は家族で過ごしますが、平日のお休みには福岡に帰って買い物や友人との食事を楽しんでいます。
    美術館や博物館、季節のイベントなどにも足を運びます。街の様子を見ることで、次のアイデアが生まれることもあります。
    波佐見町から福岡市までは2時間弱なので、都会に出かけやすいのも波佐見町の魅力です。

  • 座右の銘(好きな言葉)
  • 【もう一工夫】

    長く仕事を続けていると、自分のなかでのマニュアルができたり、こなすことが上手になってしまいます。
    そうならないように、繰り返しの仕事でも「もう一工夫できないか」と考えるようにしています。
    これで十分というラインに達していても、一度置いてみて、少し時間をあけてみて、もう一度考えてみる。そうすると、「こっちの方が面白いかも」や「この展開も考えてみよう」とアイデアが出るような気がします。

  • これからしたいこと(今後の目標)
  • 何事も続けることを目標にしています。
    どんなおもしろい企画やイベントでも、長く続けなければ本当の価値はわからないように思います。
    「波佐見空き工房バンク」も、波佐見町のみなさんが必要としてくださるうちは、長く続けていけたらと思っています。