輝く女性たち

益子美沙子 / ながさき食物アレルギーの会ペンギン

<きっかけ>

  家庭科教員として働いておりましたが、妊娠を機に退職しました。
息子が生まれ生後4ヶ月の時に麦茶を飲み発赤・発疹などの症状が現れ、これが息子の「食物アレルギー」のはじまりでした。そして詳細な血液検査により「米・小麦・卵・麦茶・そば・大豆・トマト・・・」と15種類以上のアレルゲン(アレルギーの原因物質)が判明し、息子が安心して食べられるものを探す日々が始まりました。

 そして2011年に長崎女子短期大学で保育園、幼稚園の先生の卵である学生さん向けに息子の食物アレルギーに関してのお話をしたことを皮切りに、「食物アレルギーサポーター」として毎年様々なお立場の方に、お話をする機会をいただいております。

 今まで長崎県には、県や市登録の食物アレルギーに関するボランティア団体がありませんでした。私は息子の食物アレルギーに関して1人で悩むことが多く、同じ立場の保護者の皆さんとお話しする機会を重ねるごとに「チームになりたい」、そして、息子を支えていただいた方々への恩返しがしたいという気持ちが強くなり「ながさき食物アレルギーの会ペンギン」を立ち上げました。

ながさき食物アレルギーの会のマスコット ぺんぎん

<活動の内容>

 当会は食物アレルギーを持つお子さんの保護者・教育関係の先生方・興味関心のある方を対象に気軽に情報交換ができるおしゃべり会・講座・講演会などをさせていただいております。

    月に一度、「おしゃべり会」「食物アレルギーに関わる入園入学講座」「食物アレルギーと防災講座」「エピペン(食物アレルギー症状であるアナフィラキシー・アナフィラキシーショック出現時に使用し症状を一時的に緩和する自己注射薬)講座」などの様々な講座を開催しています。普段の食事やアレルギー配慮食品の販売情報・困っていることなどの情報共有、ほっとできる場ともなっております。

 12月には「3大アレルゲンを含まないクリスマスケーキ試食会」を開催しました。卵・乳・小麦を使用していないケーキや寿司ケーキをみんなで試食し「おいしいね♪」とおしゃべりしながら楽しい時間を過ごしました。

 

3大アレルゲン不使用のケーキ

  保護者の皆さんは、お子さんが口に入れるものに対してはもちろんですが、生活全般や社会活動にも細かい配慮や周囲にお願いをしながら生活をしています。行事に参加することも難しい場面もあり、悩みながらこどもの命を守るために日々気を張って過ごしています。

 講演会では、「食物アレルギーとは」という基本的なことから、日々の対応や配慮点、エピペンの使い方、誤食事故が起きた際の対応、事故を起こさないための工夫、おすすめレシピなどをお伝えしています。

最近では、教育学部・幼児教育学科の学生さん、民泊受入れ家庭の皆さん、保育園の先生方にお話をさせて頂きました。

 <嬉しかったこと>

 食物アレルギーを持つ子どもの保護者の皆さんは、食事は勿論、遊び・集団生活などの全般にわたり細かい配慮をしながら生活をしています。毎日毎食の食事作りで精神的に張りつめてきつい状況の方もいらっしゃいます。
   当会イベントにご参加の方で「食物アレルギーについて同じ思いを持った皆さんとこんなにも話せる場があるなんて」と嬉し涙を流される方もいらっしゃって、ペンギンの存在意義はそこにある、ボランティア団体を作ってよかったと実感しております。

 また講演会では、「お麩の原料が小麦だと初めて知り、もっと食品表示をよく見ないといけないと思った」「エピペンを初めて触って良い経験が出来た」「食物アレルギーがあると予想以上に大変だということがわかり気を引き締めて預かりたいという気持ちが大きくなった」「パン屋さんや落花生畑のそばを通るだけで症状が出る場合があるとは驚き、知ることが出来て良かった。」などのご感想があり、食物アレルギーに関する啓蒙活動をもっと頑張りたいというモチベーションを上げていただいております。

 

講演会の様子

  <大変だったこと>

 活動を始めたころは、まだ食物アレルギーに対する認知度も低く、どうしたら食物アレルギーについてもっとご理解頂けるかということに心を砕いてきました。

また、ボランティア団体の立ち上げは初めての挑戦だったので、全てが大変でした。HP作成をはじめ、会計処理、資金調達、様々な渉外活動など初めてのことばかりで今も右往左往しています。

 

<活動を通して得たもの>

 人と人との繋がり、ご縁を沢山いただいており感謝の日々です。全国の同じような食物アレルギーの患者さんや支援する団体の方々とも、活動を通して知り合い様々な情報を交換できるようになりました。長崎だけでなく他の地域での取り組みから学ぶことも多く、資材や助言を頂けることもあります。

 <今後どのように進んでいきたいか>

 食物アレルギーで困っている方が「ペンギンに相談してみようかな」と気軽に思ってくださるような団体になっていければと考えております。

 今の時期は入園入学の準備に関する相談が多く、新しい環境に戸惑い、先生方にどうお伝えすればいいのか、どこまでお願いしていいのか分からず悩んでいるという声が届きます。特に一人で悩んでいる方に「おしゃべり会に参加しませんか」とお伝えしたいです。現在はインスタライブなどのオンラインでのイベントも開催しております。

 当会の役員は、看護師・薬剤師・保育士・幼稚園教諭・教員・パティシエと様々な職種で構成されています。今後も役員の得意分野を生かした講座を積極的に開催していく予定です。新たに「3大アレルゲン+大豆を使わないクッキー教室」「薬剤師によるお薬教室」など企画中です。

  「アレルギーっ子を真ん中に一つのチームに」という思いを、常に持ち活動しております。これからも食物アレルギーに関わる皆さんと「ONE TEAM」になれるよう地道に活動して参りたいと思っております。

                    (令和2年5月現在)

 

講座の資料

 

 

ライフ年表

27歳:息子誕生。息子が重度のマルチ食物アレルギー判明
32歳:食物アレルギーサポーターとして講演会活動を開始
40歳:長崎県食育推進活動表彰(県知事賞)
40歳:ながさき食物アレルギーの会ペンギン設立
41歳:南島原市「民泊と食物アレルギー」講演会の講師
41歳:長崎県食育推進県民会議委員

  • 現在の仕事(活動)を始めるきっかけ又はやりがい
  •  息子の食物アレルギーが、なければ食物アレルギーの世界にここまで関わることはなかったかと思います。食物アレルギーっ子を教育現場へ預ける立場でもあり、お預かりする立場でもあるので両方の視点により多角的に食物アレルギーと関わっています。
    両者の橋渡しになれる一人として本職の教育現場でも食物アレルギーと深く関わらせて頂いており有り難いです。

  • 仕事(活動)と家庭の両立で工夫していること
  •  現在息子のアレルゲンは寛解(治療を続けながら病気の症状がほぼ消失)状態のものも多くなり、食事面でかなり楽になってきました。息子には当事者として食物アレルギー啓蒙活動を手伝ってもらったり、当会の役員のみんなに助けてもらったりと一人で抱え込まないようにしています。

  • プライベート(休日)の過ごし方
  •  家族で一緒にお茶の時間をとっています。大好きな紅茶とスイーツでおしゃべりしながら心がホッとする時間を大切にしています。
     そして嵐が大好きなのでDVDを見て元気をもらっています(笑)。

  • 座右の銘(好きな言葉)
  •  ご縁に感謝
    頂いたご縁を大切にし、常に感謝の心を持って生きていきたい。
    人は一人では生きていけない、「お互いさま」そして「感謝」の気持ちを大切にすることでお互いに笑顔になれハッピーになれると考えているので。

  • これからしたいこと(今後の目標)
  • 食物アレルギーで悩んでいる方困っている方のお手伝いが出来るよう、日々進歩する食物アレルギーの治療や状況に常にアンテナを高く持ち続けていきたいと思っております。食物アレルギーに関する講演会などを主催し、皆さんに情報を届ける活動にも挑戦していきます。

  • 後輩女性へのメッセージ
  • 息子が小さい時、あまりにも食物アレルギーが重度のため息子はいつ何があってもおかしくないという恐怖と絶望の中に生きていましたが、友人・先生方をはじめ沢山の方に支えていただき、ここまで成長することが出来ました。その方たちに少しでも恩返しがしたいという気持ちでボランティア団体を立ち上げましたので、今まさに食物アレルギーを持つ小さいお子さんがいらして悩んでいる方のお手伝いがしたい!!という思いを持ちながら活動しております。これからも思いを形にするために努力を続けていきたいと思っております。